虹色の架空はなし。初恋は実らないっていうけど、私もその典型。恋したのはなんて身近すぎてドラマティックじゃないんだろう! って思うんだけど、好きになったから仕方がない。 隣りの町の年上の従兄弟だった。 単純に背が高くて優しかった。昔はわんぱくでよくからかわれたけど、 大人になってきたら落ち着いていて、そして穏やかな人だった。 理由はこれくらいしかないけど、でも私はすごく好きになってしまった。 単純に一緒にいたかったし、みんなオンナノコ誰もがそう思うように 彼にも私を好きになってほしかった…女として。 でもほとんどが小説のヒロインになれるわけじゃないのだと 知るときがくる。 いつもの何気ない会話を交わして「そういえばこの間誰といったって いってたっけ?」 「ああ、彼女」 その後はほんとに食欲がなくなった。何故彼の相手が私ではないのか、 自問自答した。優しくしてくれたじゃない。私けっこうオンナノコらしくして、 割とかわいいじゃない? でもそんなこと関係なかったんだよね。彼が選ぶのは彼の意志だし。 そのあと少しして、いやにカンのいい彼の弟が私に彼と彼女の写真を なにげにみせた「これ、にーちゃんの彼女」 顔が硬直してそんな写真みせる弟にむかついた。 よく遊びにいった河原にいった。 昔悲しかったときそこで夏にたき火を一緒にした。 あの思い出はもぅ子供時代の記憶ぐらいでしかないのだなぁ、 と思ったら一人でしみじみその思い出に浸る自分が悲しかった。 そのあと私はてきとーに男の子と遊んだけど、 てきとーな気持ちの私を愛してくれる人なんかいなかった。 やっぱり物語のように、慰めの王子様も現われはしなかった。 窓から景色をとろうとカメラのファインダー越しに町を見てた。 虹が出てた。まぼろしの産物だ。 |